映画『人』
俳優:敦賀零
MC:MiQri
Asst.:涼原あす菜
作品情報
山口龍大朗(監督)
1988年1月22日生まれ。熊本県熊本市出身。
福岡の映像制作会社「スタジオ56」にて番組・CMなどの制作に携わった後東京へ上京。
その後フリーランスとなる。
2013年に国家機関JICAと共にアジアの支援状況報告の映像を製作するため、クリエイターとして活動。2017年以降はWEB–CMや映画のプロデューサーやディレクターとして活動。
「人」
出演者
QUESTIONNAIRE
1.この映画を撮ったきっかけはなんですか?
友人との死別がきっかけでした。地元の小学校からの知り合いでひとつ上のお兄ちゃんのような存在でした、お互い仕事が忙しくなり会えない時期に亡くなってしまって……。なかなか気持ちの整理がつかなかったのですが、お葬式で知り合いから、私のことを周りの人に話したり、映画のエンドロールを見ては喜んだりしてくれていたことを教えてもらい、相手のことを知っていたつもりだったけど、意外と知らないことが多いと気づかされました。
そしてお葬式でその亡くなった友人のお姉さんが、「姿形はないけれど、どこかで私たちの話をしてくれていると思う」と言っているのを聞いて、この映画をつくろうと思いました。幽霊でもいいから近くにいてほしいという気持ちを形にしたいと思ったというか。悲しい出来事ではあるのですが、それを前向きに捉え、夢や希望が持てるお話しにしました。
2.この作品でのこだわりはありますか?
どうしても幽霊=ファンタジーになりがちですが、それはやめようと。話が進むにつれて、これは幽霊の話か、いや人間ドラマだと感じていただければうれしいです。映像も浮遊感のようなものを意識しつつも、基本、鮮明に撮影(カメラマンの神戸千木さんが)してくれています。導入がファンタジーなだけで、本質的にはヒューマンドラマのような感覚でつくっています。
3.この作品を撮ってみて思ったことがあれば教えてください。
コロナの中で作った作品なんですが特に意識したのは「死」でした。死は身近なもので誰にでも関わりがあるものです。だからこそ共感性も高いと思いました。私自身も、コロナ禍で大切な人の存在や死について改めて考えさせられましたから。そして死を悲しむのではなく、死と向き合う話を作ろうと思いました。大切な人を亡くした経験がある人にはぜひ見てもらいたいです。そして、きっかけをつくってくれた亡くなってしまった友達にも届けられたらと思いました。
4.今回の作品で一番苦労した点を教えてください。
脚本作りです。脚本を考えていた期間はちょうどコロナ禍で。私自身が別の映画の製作に入っていましたが、2カ月くらいストップしてしまい、この映画の脚本に打ち込む時間をたっぷりつくれました。脚本は50回くらい書き直したんじゃないかな。
俳優さんたちにもつくっている段階の脚本を見せて意見をもらったりして。時間がないとなかなかできないことですから、すごくありがたかったです。約39分という短い物語ですが、2時間の映画に負けないくらいみんなが納得いくまでやったという感じ。そしてみんなでつくりあげていくということは撮影が始まってからも変わらず。編集を含めて完成まで2年近くかかってしまいましたが、かなり納得度の高い作品になりました。
5.今後どのような作品を作っていきたいですか?
作品自体もそうですが作品制作にも力を全力で注ぎたいです。
映画は希望や夢がある仕事だと思うんですよ。だからこそ映画業界がもっとよくなっていけばと思っています。私がつくるのは小さな作品ですが、少しでも自分なりの考えでチャレンジしていくことが、次世代の映画の道を切り拓いていくことになる気がして。作品づくりとプラスして、面白いプロジェクトには参加していきたいと思います。
今は、地元熊本の魅力を映画を通して伝える“火の国シネマproject”で新作映画「シキ」を製作しているのですが、これも新しい映画との関わり方だと思います。これまで映画と関わることができなかった地方の人たちも映画を身近に感じられるわけですから。多くの人が映画に興味を持つきっかけとなるような作品を作っていきたいと思います。
今後は新しい映画の作り方をしていきたいので私は映画のプロセスを見ながら持続的に作品を応援できるブロックチェーン技術を活用したFiNANCiE(フィナンシェ)という「トークン」発行型のファンディングを使わせていただいています。
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000042665.html)
これまでの映画製作では、自分の目が届く範囲の人としかつながれませんでしたが、「トークン」を使えば顔を見たことのない人たちと一緒に映画をつくっていけるんです。私も尊敬している監督の作品に参加しているときに感じた、一緒につくっている喜びみたいなことに近いというか。そのつながりで感じる喜びみたいなことを気軽に感じられるシステムがあるのはいい事だと思います。みんなで一緒に素敵な作品をつくれる機会が増えるわけですから。最新技術を利用して映画が少しでも身近なものになっていくというのは、映画の未来としてもいいのではないかと思います。
そんなコンテンツを使って私が描きたい「人」や「家族」(共感性が多いもの)をテーマに映画を作っていきたいです。
6.演出で意識したことはありますか?
私はこれまでにたくさんの有名な監督の現場に入ってきましたが、監督たちを間近で見ていると本当に天才だと感じることが多かったです。どうすれば一番いい映像が撮れるのかを分かっていて、指示の全てが的確なんです。
錚々たる監督たちのような経験値もないので、そのようなやり方はできない。だからこそ相談しながら現場をつくっていこうと考えて演出にも意識しました。みなさんに協力してもらうスタイルなので時間もかかってしまうのですが、自分にはそのやり方が合っていると思っています。
相手の引き出しも開けながら、共につくっていくこの自分のスタイルで今後も映画を作っていきます。
コメントするにはログインしてください。